◆塙保己一エピソードその2.集中力◆


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保己一が十代のとき、下手な按摩ながら贔屓にしてくれた人がいた。その中のひとり旗本の高井大隈守実員の奥方は保己一の書物好きを知って、読み聞かせをしてくれた。ある夏の晩、蚊帳の中で読む奥方は彼が蚊帳の外で両手を紐で縛りじっと聞いているのに気づいた。奥方がどうしたのかと尋ねると「蚊に気をとられると、せっかく読んでくださった本の内容を聞き忘れてしまうからです」と答えた。その集中力に感心した奥方は、ご褒美に「栄華物語」を買って与え、保己一は生涯大事にしたという。 塙保己一エピソードその2「集中力」