『登録有形文化財』の温故学会会館

 温故学会会館は、『群書類従』版木(国・重要文化財、17,244枚)を管理・保存する目的で、斎藤茂三郎初代理事長が渋沢栄一、三井八郎右温故学会会館衛門ら各界の著名人に呼びかけ、全国からの協賛を得て、大正15年8月に着工され、昭和2年3月に完成した。

  会館の設計・施工には清水組(現・清水建設)が担当し、堅固・耐震耐火構造を基本方針として建設された。

温故学会会館
温故学会会館

  会館は、鉄筋コンクリート二階建で、正面からは鳳凰が両翼を広げたような形をしており、玄関向かって右側は、1階・2階ともが版木倉庫、左側は、1階が事務室などで2階が講堂となっている。講堂は27畳と床の間を配置し、和洋折衷の珍しい構造となっている。

  関東大震災の経験を生かし建設された会館は、すでに80年を経ているが、空襲にも耐えずっしりとした風格は今日でも変わらない。
平成12年4月文化庁より『登録有形文化財』の指定を受けた。

会館の概要
土地東京府豊多摩郡渋谷町大字下渋谷氷川裏338(現在地)
帝室林野庁より許可される(賃料・坪10銭)
建設合資会社 清水組
工費4万円
延坪105坪(1階・2階とも50坪、うち版木倉庫は20坪)